2018年の春に、店頭FX会社での取引レバレッジが25倍から10倍に引き下げられるというニュースが出たことがあります。
2017年からレバレッジ10倍規制についての話は出ていたのですが、正式には決定されれば2018年春から規制に踏み切る方針が有力でした。
このレバレッジ規制は一旦見送られましたが、近い将来レバレッジが最大25倍から10倍にまで引き下げられる可能性は残っています。
FXトレードの最大の魅力であるレバレッジが最大25倍から最大10倍にまで引き下がる案は「厳格化かつ適正なストレステストを行う」という条件付きの見送り状態(2019年末時点)。
再検討が行われる可能性は充分に残っています。
FX取引のレバレッジを最大10倍にする狙いとしては、急激な為替相場の変動が起こった場合のFX投資家の保護。
ちなみに個人的には、10倍規制してほしくないと思っています。25倍から10倍に規制されてしまうと、1ドル円を1万通貨トレードするための証拠金が約10万円も必要になってしまいます。(25倍の場合だと約4千円)
2010年より以前は、国内FX会社でもレバレッジ100倍以上で取引できる会社も存在していたのですが現状では25倍が最大。
そもそもFXでのレバレッジとはどういうものか
FX取引においてのレバレッジとは、少ない資金で大きな金額を動かすことができる証拠金倍率のことになります。
たとえば、現在のドル円の為替相場が1ドル100円だとして、日本円100万円をドルに交換すると1万ドルになります。したがって、レバレッジ1倍で1万ドルと交換するには100万円必要。
- レバレッジ1倍(レバレッジ無し)
- 1ドル100円の場合
- 100万円で1万ドルと交換可能
レバレッジ25倍で取引できるFX会社で取引する場合は、100万円あれば25万ドル買えるという計算になります。1万ドル動かす場合は日本円4万円の証拠金で取引可能。
- レバレッジ25倍
- 1ドル100円の場合
- 100万円で25万ドルと交換可能
近年では1千通貨単位で取引できるFX会社が増えてきており、その場合は4千円あれば1千ドル買える計算になります。
基本的には、FXトレードする場合は最低でも1千ドルから交換する必要があるということです。(1ドルからトレードできるFX会社もある)
為替変動によるロスカットを避けるために、FX口座残高に余裕を持たしておく必要がありますが、少ない持ち金で大きな金額を取引できるのがレバレッジの魅力です。
レバレッジの計算方法
- 1ドル=100円の時に買う場合1,000ドル=100,000円
- 1,000ドル=4,000円で取引可能(レバレッジ25倍)
- 1ドル=101円の時に売れば1,000円の儲け
- レバ25倍なら4,000円で1,000ドル取引できるが、10,0000円÷3=33,000円以上口座入金しておくことが望ましい。(強制ロスカット回避)
こんな感じで、レバレッジ25倍での取引では1千ドルを4千円で取引できるのですが、レバレッジが最大10倍までとなってしまうと1千ドル買うのに1万円かかるということになり、必要証拠金が今までの2.5倍必要になります。
- 1ドル=100円の時に取引する場合1,000ドル=100,000円
- 1,000ドル=10,000円で取引可能(レバレッジ10倍)
充分な投資金を用意して取引をされている方にとってはさほど影響は出ないのかもしれませんが、FX口座に入金する資金をギリギリまで切り詰めて取引をされている方にとっては影響大。
為替の値動きによる損益計算方法
レバレッジを効かせたFX取引は、少ない持ち金で大きな資金を動かすことができます。
ですが、損益はレバレッジ計算される前の金額から計算されます。たとえば1千ドル取引する場合、為替が1円下がって1ドル99円になると1,000円の損失が出ます。
- 1ドル100円の時に取引する場合(1,000通貨)
- 1ドル99円になると1,000円の含み損
- 1ドル101円になると1,000円の含み益
1ドル100円の時に1,000ドル買う場合、1円下がると1,000円含み損が出て1円上がると1,000円含み益が出ます。
1,000円の含み損が発生した時に、取引を行なっているFX会社の自身の口座に1,000円以上残っていなければ、ロスカットとなり損失が出ている状態で強制的に売られてしまうということに。
レバレッジが高ければ高いほど大きな金額を動かせるので、為替変動による損益も大きくなります。すなわち、最初から動かす金額に余裕を持たせておけば、レバレッジが25倍から10倍に規制されたとしても乗り切れるかもしれません。
さいごに
今のところは(2019年末時点では)国内FXのレバレッジを最大25倍から最大10倍にまで引き下げる案は見送られています。
ですが、今後レバレッジが引き下がっていく可能性は残しています。
規制が見送られた理由は以下の3つが挙げられています。
- FX会社のトップの方達から猛反対があったから
- FX業界の衰退につながる可能性があるから
- 実行する旨みがないから
レバレッジを規制してしまうとFXから離れていく人は間違いなく増えるので、FX会社やトレーダーからの税収が減ることになりますよね。表に出ている規制理由だけでは分からないことが多いと思います。
レバレッジ10倍規制は国内FX会社のみとなるので、海外FX会社のレバレッジは規制されません。日本国内で海外FX会社を利用することも可能。
海外FX会社はレバレッジ400倍以上で取引できるところもあるので、国内FX会社がレバ10倍規制に走ることになれば海外FX会社に戦場を移す投資家も増えるのではないでしょうか。
レバ規制強化の流れは、個人投資家の無理な投資を抑制するためのものでもあると言われています。ハイレバレッジで大きな金額を動かして一攫千金を夢見た結果、大損して追証金が払えず破産に追い込まれるということにだけはならないように注意が必要。
投資活動は生活に支障が出ない余裕資金でするべき。リーマンショック級の大暴落が起こったとしても強制ロスカットされないくらいの資金をFX口座に突っ込んで取引を行なうようにしたいところですね。
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